お店のGoogleの口コミに、星1がつきました。
コメントは何も書かれていない、あるいは身に覚えのない内容が書かれている。
このとき最初にやることは、返信でも削除依頼でもありません。
その口コミが「Googleが消す対象かどうか」を仕分けることです。
仕分けをせずに報告ボタンを押すと、何日も待ったあげく何も起きません。
この記事では、Googleのポリシーと法律の原文をそのまま引いて、消せるものと消せないものを分けます。
そのうえで、消せない星1にどう返信するかを、業種別の例文で示します。
書いた人を特定する開示請求についても、コメントなしの星1でできるかを含めて、条文と裁判所の書式で説明します。
- マップ ユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」
- Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」
- 同「ユーザーからのクチコミを管理する」
- Google「法的な理由でコンテンツを報告する」
- 特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律と同法施行規則(e-Gov 法令検索)
- 総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」
- 総務省「大規模特定電気通信役務提供者の義務に関するガイドライン」(令和7年3月11日制定)
- 総務省「プロバイダ責任制限法Q&A」
- 東京地方裁判所 民事第9部「発信者情報開示命令申立て」と申立書の記載例・参考書式
- 情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会「名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」「裁判例要旨(名誉毀損編)」
- 刑法、刑事訴訟法、民法、弁護士法(e-Gov 法令検索)
- Google 利用規約
- 読売新聞オンライン(2025年12月1日配信)仙台地裁判決の報道
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(令和8年3月30日最終改正)
この記事は2026年9月時点の情報をもとに書いています。
Googleの管理画面は年に何度も変わるため、手順は画面名で書いています。
結論:星1は3種類に分かれる。できることが違う

星1の口コミは、対処の仕方で3つに分かれます。
ポリシー違反のもの、事実と違うが違反ではないもの、正当な不満の3つです。
| 種類 | よくある例 | できること |
|---|---|---|
| ポリシー違反 | 元従業員や同業者の投稿、来店していない人の投稿、個人名が書かれている | 報告する。削除される可能性がある |
| 事実と違うが違反ではない | 体験に基づくが、店側の記録と食い違っている | 削除は難しい。返信で事実を書く |
| 正当な不満 | 実際にあった落ち度への指摘 | 返信して、直したことを伝える |
削除を試せるのは、いちばん上の1種類だけです。
残りの2つは、返信でしか対応できません。
「コメントなしの星1」はどこに入るか
コメントのない星1は、原則として3番目と同じ扱いになります。
星だけの評価は感想であって、Googleが禁じている内容に当てはまらないからです。
ただし、来ていない人が付けた星なら、1番目に変わります。
その見分け方を、次の章で説明します。
Googleが削除の対象にする口コミ。原文で確認する

Googleはマップへの投稿について、禁止または制限されているコンテンツを21種類に分けて公開しています。
そのうち、お店に付いた星1に関係するのは主に4つです。
来店していない人の投稿は「虚偽のエンゲージメント」
実体験に基づいていないコンテンツや、対象の場所や商品を正確に表現していないコンテンツ
マップ ユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」
電話で問い合わせただけの人、予約を取っただけの人の星1がこれにあたります。
報告するときは、来店の記録がないことを説明できるようにしておいてください。
元従業員と同業者の投稿は「利益相反」で報告できる
店側がいちばん使えるのに、あまり知られていないのがこの類型です。
利益相反に基づくコンテンツ。
利益相反には、現在または過去の雇用関係、契約関係や顧問関係、利益相反となるその他の職業上のつながりや個人的なつながり(業界の競合他社、家族関係など)が含まれます。
同上(評価の操作)
辞めた従業員が書いた口コミは、ここにあたる可能性があります。
原文に「業界の競合他社」とあるとおり、近隣の同業者が客を装って書いた場合も同じです。
「事実だから消せない」とあきらめる前に、誰が書いたのかを考えてください。
スタッフの名前が書かれていたら「個人情報」
本人の同意なく投稿された、他者の個人情報を含むコンテンツ(例: 氏名、写真または動画に写っている顔、その他同意なく投稿されたと報告されている情報)
同上(個人情報)
口コミ本文にスタッフの実名が書かれている場合は、この理由で報告できます。
内容への不満そのものは消えなくても、名前の部分が問題になることがあります。
脅しが含まれるなら「ハラスメント」
個人や特定の集団に対して危害を加えるという具体的な脅迫を含み、合理的な人物が精神的または身体的な安全性や健全性に恐怖を感じるようなコンテンツ
同上(ハラスメント)
「今度行ったら覚えておけ」のような書き込みは、単なる低評価とは扱いが違います。
報告の手順と、かかる日数
- ビジネス プロフィールにアクセスする
- 「クチコミを読む」を選ぶ
- 報告したいクチコミの横にある報告アイコンを選ぶ
- 報告する理由を選ぶ
- 「報告を送信」を選ぶ
進み具合は、クチコミの管理ツールから確認できます。
気になるのは、報告してから何日で結果が出るかだと思います。
Googleが書いているのは、次の一文だけです。
クチコミの評価には通常数日かかります
Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」
何日以内に回答する、という約束はどこにも書かれていません。
この点は、次の章の法律の話とあわせて読んでください。
報告とは別に「法的な理由での削除リクエスト」がある
Googleには、ポリシー違反の報告とは別の窓口があります。
名誉毀損など、法律を理由にした削除のリクエストです。
ただしGoogle自身が、先にポリシー違反の報告を試すよう書いています。
リクエストを作成する前に、該当するサービスのポリシーをお読みになり、ポリシー違反のコンテンツを報告してください
Google「法的な理由でコンテンツを報告する」
順番は、まず報告、それでも残るなら法的な理由の申請です。
ここまでは、消したい口コミの話です。
逆に、お客様が書いてくれた口コミのほうが消えてしまうこともあります。
そのときの切り分けと、Googleへの申請の書き方は、口コミが反映されない・消えたときの記事にまとめました。
2025年に法律は変わった。ただしGoogleマップは対象外

ここは、ほかの記事がまだ書いていない部分です。
2025年4月1日に、ネット上の権利侵害に対処する法律が変わりました。
プロバイダ責任制限法が改正され、情報流通プラットフォーム対処法という名前になっています。
大きな変更は、規模の大きいプラットフォームに削除申出への対応が義務づけられたことです。
申出を受けた日から14日以内の総務省令で定める期間内に、申出者に対し、侵害情報送信防止措置を講じた場合にはその旨、侵害情報送信防止措置を講じなかった場合には講じなかった旨及びその理由を通知しなければならない
総務省「大規模特定電気通信役務提供者の義務に関するガイドライン」(法第25条第1項の説明)
この「総務省令で定める期間」は、同法の施行規則で7日と定められています。
削除に応じない場合でも、その理由を通知しなければならない、というのがこの義務です。
ここだけ読むと、Googleに申し出れば期限内に回答が来るように思えます。
ところが、Googleマップの口コミはこの義務の対象に入っていません。
指定されているのは会社ではなく「サービス」
この法律の指定は、会社単位ではなく、サービス単位で行われます。
総務大臣は、次の各号のいずれにも該当する特定電気通信役務(中略)を提供する特定電気通信役務提供者を、大規模特定電気通信役務提供者として指定することができる
特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第20条第1項(e-Gov 法令検索)
総務省が公表している指定の一覧は、次のようになっています。
| 指定された事業者 | サービス名 | 指定日 |
|---|---|---|
| Google LLC | YouTube | 2025年4月30日 |
| LINEヤフー株式会社 | Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンス、LINEオープンチャット、LINE VOOM | 2025年4月30日 |
| Meta Platforms, Inc. | Facebook、Instagram、Threads | 2025年4月30日 |
| TikTok Pte. Ltd. | TikTok、TikTok Lite | 2025年4月30日 |
| X Corp. | X | 2025年4月30日 |
| 株式会社ドワンゴ | ニコニコ | 2025年5月29日 |
| 株式会社サイバーエージェント | Amebaブログ | 2025年5月30日 |
| 株式会社湘南西武ホーム | 爆サイ.com | 2025年5月30日 |
| Pinterest Europe Limited | 2025年5月30日 |
Google LLCは指定されていますが、対象のサービスはYouTubeだけです。
Googleマップやビジネスプロフィールは、この一覧に出てきません。
指定された事業者は、削除申出の窓口を総務省に届け出ることになっています。
その届出一覧でも、Googleの窓口として載っているのはYouTubeヘルプのページだけです。
だから「何日で消えるか」は誰にも約束できない
法律上の期限がない以上、報告から結果までの日数は決まっていません。
Googleのヘルプにも「通常数日かかります」としか書かれていません。
数日で消えることもあれば、何の連絡もないまま残り続けることもあります。
「何日で削除します」と日数を約束する業者がいたら、その根拠を聞いてください。
電話で削除を持ちかけられている場合は、「Google認定です」というMEOの営業電話は本物かでGoogleが禁じている内容を確認できます。
Googleに裏口はなく、業者が押しても通る仕組みはありません。
業者に頼む前に確かめておきたいことは、Googleの口コミ削除業者に頼む前ににまとめています。
無料で相談できる公的な窓口がある
削除依頼の方法が分からないときに、無料で相談できる窓口があります。
サイト管理者などへの削除依頼の方法や、書き込んだ相手を特定する方法について、相談を受け付けている窓口です。
相談はウェブフォームからのみで、費用はかかりません。
総務省のページから案内されています(https://ihaho.jp/)。
弁護士に依頼するかどうかを決める前に、ここで整理してもらう方法もあります。
星1を書いた人は開示請求で特定できるか。コメントなしの星1が難しい理由

書かれた内容が作り話で、営業に響いているなら、書いた人を突き止めたいと思うのは自然なことです。
そのための手続きが、発信者情報の開示請求です。
先に結論を書くと、コメントのない星1が1件ついた、という事情だけで開示を求めるのは難しいと考えてください。
反対に、具体的な事実が書かれていて、それが事実と違うなら、検討する余地があります。
開示請求で分かるのは「誰が書いたか」。口コミは消えない
開示請求は、書いた人の情報を持っている事業者に、その情報を出すよう求める手続きです。
開示請求をしても口コミそのものは消えないことは、裁判所も案内しています。
情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報開示命令事件において投稿記事の削除を求めることはできません。
東京地方裁判所 民事第9部「発信者情報開示命令申立て」よくある質問
口コミを消したいなら、先に説明したGoogleへの報告や、法的な理由での削除リクエストが別に必要です。
開示の対象は、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、IPアドレス、投稿した日時など、総務省令で決められた情報です。
Googleマップの場合、請求の相手は、利用規約でサービスの提供者とされている米国のGoogle LLCです。
請求できる条件は2つ。「明らか」と「正当な理由」
開示を求められる条件は、法律で次の2つに決められています。
一 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律 第5条第1項
2つ目の「正当な理由」は、条文のとおり、損害賠償を求めるためと説明するのが基本です。
難しいのは、1つ目の「権利が侵害されたことが明らか」のほうです。
裁判所の書式に当てはめると、星だけの口コミは「事実」の欄が書けない
東京地方裁判所が公開している申立書式に、「権利侵害の説明」という書式があります。
名誉毀損を理由にするなら、次の項目を証拠つきで書く形です。
| 書式の項目 | コメントなしの星1 | 具体的な事実が書かれた星1 |
|---|---|---|
| 同定可能性(どの店のことか) | 店のページについているので分かる | 同じ |
| 事実の摘示(何を述べているか) | 述べている事実が無い | 「消費期限の切れた食材を出している」と述べている |
| 社会的評価の低下 | 説明する材料が無い | 衛生管理がずさんな店だという印象を与える |
| 真実に反すること | 比べる事実が無い | 仕入れや廃棄の記録で、そうした事実はないと示せる |
表のとおり、コメントのない星1は、2つ目の「事実の摘示」の欄で止まります。
記入例も「投稿1は・・・と言明するところ」と、投稿が何を言っているかから書き始めます。
星だけの評価は、何も言明していません。
名誉感情の侵害を理由にするなら、「社会通念上許容すべき限度を超えた違法なもの」だと説明する必要があります。
星を1つ選んだだけの評価で、そこまで言うのは難しいでしょう。
競合の院長が付けた星1でも、裁判では違法にならなかった
星だけの評価をめぐり、宮城県の小児科医院を運営する医療法人が、近くの医院の院長らを訴えた裁判があります。
報道によると、院長は2つの匿名アカウントで自分の医院に星5、相手の医院に星1を付け、理由は何も書いていませんでした。
仙台地方裁判所は2025年11月20日の判決で、この星1に不当な目的があったと推認しています。
それでも名誉権や営業権の侵害は認めず、請求を棄却しました。
理由として報じられたのが、次の判断です。
一般の人は、投稿者が不満を持っただけと理解するに過ぎない
読売新聞オンライン(2025年12月1日配信)が伝えた仙台地裁判決の判断
開示請求ではなく損害賠償の裁判ですが、星だけでは権利の侵害にならない、という判断は開示請求にもそのまま関わります。
原告側によると、星だけの投稿者を特定するのは難しく、米国の法制度を使って特定したそうです。
判決文は裁判所のサイトに載っておらず、原告は控訴しない意向と報じられています。
裁判例では「感想」と「事実」で結論が分かれている
プロバイダの業界のガイドラインにも、評価や感想の投稿を扱った裁判例が載っています。
| 裁判と投稿の中身 | 結論 |
|---|---|
| 名古屋地裁 2011年3月11日 オークションの3段階評価で「悪い」 | 評価の段階の1つを書いただけで、社会的評価は下がらない |
| 東京地裁 2022年1月28日 焼肉店の味についての感想 | 個人の感想の域を出ず、社会的評価は下がらない |
| 同じ裁判(東京地裁) 「客足が減って他店に流れている」「修行していないアルバイトが肉を切っている」 | 権利の侵害が明らか |
| 東京高裁 2020年12月9日 地図サービスの口コミ「断られても電話で再勧誘した」 | 開示を一部認めた |
名古屋の件の判断は次のとおりです。
『悪い落札者です』との評価は、上記3段階の評価のうちの1つを記載したものにほかならず
名古屋地裁 平成23年3月11日判決(情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会「名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」より)
Googleマップの星も、5点満点の評価から1つを選ぶ仕組みです。
一方、東京高裁は具体的な事実が書かれた口コミで開示を一部認め、店側に「不可能に近い立証まで強いることは相当でない」と述べています。
コメントなしの星1に効くのは、開示請求よりGoogleへの報告
仙台の件のような星1は、法律では違法とされなくても、Googleのルールでははっきり禁止されています。
1 人のユーザーによって、またはそのユーザーの依頼により、複数のアカウントから投稿されたコンテンツ。
競合他社のお店やビジネスについて、その企業や商品の評判を傷つけるコンテンツを投稿する行為。
マップ ユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」(虚偽のエンゲージメント)
来店していない人、元従業員、同業者の星1は、Googleが削除の対象にする口コミの類型で報告してください。
報告は無料で、裁判所の手続きもいりません。
開示請求を考えるのは、具体的な事実が書かれていて、それが事実と違うと記録で示せるときです。
個別の口コミで請求できるかどうかは、弁護士にご相談ください。
開示請求の流れ・期限・費用。始める前に残しておく記録

流れと期限を知っておくと、弁護士に相談する時期を逃しません。
2022年10月から、手続きは1つにまとまった
2022年10月から、Googleと携帯電話会社などへの手続きを、1つの裁判手続きで進められるようになりました。
- 地方裁判所に、Google LLCを相手として、開示命令と提供命令を申し立てる
- 提供命令が出ると、書いた人が使った携帯電話会社やプロバイダの名前が伝えられる
- 伝えられた日から2か月以内に、その会社への開示命令を申し立て、Googleに知らせる
- 裁判所が決定を出し、1か月以内に異議の訴えが起こされなければ確定する
- 氏名や住所などが開示され、損害賠償の請求などに進む
その会社が記録を消すおそれがあれば、消去禁止命令もあわせて申し立てます。
申立て先の裁判所は相手方の側の事情で決まり、店の地元の裁判所とは限りません。
もう1つ、申立てをしたことは、書いた本人にも伝わる前提で考えてください。
法律は、開示するかどうかについて、書いた本人の意見を聴くことを原則として求めています。
期限:通信の記録の保存は「一般に3か月等」と短い
気をつけたいのは時間で、携帯電話会社やプロバイダの通信の記録はずっと残るわけではありません。
裁判所が公開している申立書の記載例にも、次の一文があります。
アクセスプロバイダのアクセスログの保存期間は一般に3か月等と短く、早期に申立ての趣旨記載のとおりの提供を行わせなければ、発信者を特定できなくなるおそれがある。
東京地方裁判所 民事第9部「発信者情報開示命令申立書」記載例(提供命令の必要性)
Googleマップの口コミには「3 週間前」のような日付しか出ないので、初めて見た日をメモしておいてください。
手続きを進めた先にも、法律で決まった期限があります。
| 手続き | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 開示命令の決定への異議の訴え | 決定の告知から1か月以内 | 情報流通プラットフォーム対処法 第14条 |
| 名誉毀損の刑事告訴 | 犯人を知った日から6か月 | 刑事訴訟法 第235条 |
| 損害賠償の請求 | 損害と加害者を知った時から3年 | 民法 第724条 |
名誉毀損と侮辱は、被害を受けた側が告訴しないと起訴できない罪です。
刑事事件として相談するなら、警察庁の全国統一のオンライン窓口も使えます。
費用:裁判所に納める手数料は1つの申立てにつき1,000円
東京地方裁判所の案内は次のとおりです。
開示命令事件の申立て、提供命令の申立て及び消去禁止命令の申立ての申立てごとに、それぞれ一申立てにつき各1000円の申立手数料を納付する必要があります。
東京地方裁判所 民事第9部「発信者情報開示命令申立て」よくある質問
Googleと携帯電話会社1社なら、開示命令2件と提供命令1件で3,000円、消去禁止命令も加えれば4,000円です。
大きいのは弁護士費用ですが、事務所ごとに違うので、この記事では金額を書きません。
最初の相談で、総額の見込みと、特定できなかったときの扱いを聞いておいてください。
仙台の件のように、特定できても賠償が認められないことがある点も、費用を考える材料になります。
自分でできるか。代わりにできるのは弁護士だけ
法律上は、弁護士に頼まずに自分で申し立てることもできます。
ただし、報酬をもらって代わりに手続きできるのは、弁護士だけです。
弁護士法第72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、訴訟や非訟事件の代理などを仕事にすることを禁じています。
開示命令は非訟手続なので、口コミの削除をうたう業者が報酬を取って代わりに行うことはできません。
削除の代行そのものを弁護士法違反とし、報酬の全額返還を命じた判決は、口コミ削除業者の記事で紹介しています。
方法が分からない段階なら、先に紹介した違法・有害情報相談センターに無料で相談できます。
始める前に残しておく記録
開示請求を考えるなら、Googleに報告する前に記録を残しておいてください。
報告して口コミが消えると、あとから中身を示しにくくなるからです。
裁判所の申立書にも、投稿が削除済みか、URLの裏付けがあるか、投稿日時が特定できるかを書く欄があります。
- 口コミの画面(投稿者名・星・本文・表示された日付が入るように)
- 口コミの「共有」から取れるリンクと、投稿者のプロフィールページのURL
- 初めてその口コミを見た日付
- 書かれた内容が事実と違うことを示す店の記録(予約、会計、仕入れ、資格など)
- 営業への影響が分かる記録(キャンセルや問い合わせの変化など)
開示されたあとに、してはいけないこと
法律は、開示を受けた人が、その情報をみだりに使って書いた人の名誉や生活の平穏を害することを禁じています(第7条)。
名前をネットに出す、家に押しかける、口コミへの返信で触れる、といったことはしないでください。
開示される前も同じで、返信に「法的措置を検討します」と書くのは避けてください(次の章で説明します)。
消えない星1への返信は「型」で書く

ここからは、削除も開示も難しい星1の話です。
返信は、投稿した人を説得するために書くものではありません。
その口コミを読んだ、次のお客様に向けて書きます。
読む人が見ているのは、星の数ではなく、お店がどう応じたかだからです。
返信する前に知っておくこと
返信にはオーナー確認が必要で、確認が済んでいないと投稿できません。
投稿した返信は内容の審査を経て、Googleのヘルプでは通常10分ほどで公開されると説明されています。
公開された返信は「オーナーからの返信」として表示され、個人名は出ません。
名前が出ることを心配して返信を止めている場合は、その必要はありません。
コメントなしの星1への返信
何も書かれていないので、反論も謝罪もできません。
聞く姿勢だけを短く書きます。
飲食店
このたびはご来店いただきありがとうございました。ご期待に沿えない点があったものと受け止めております。よろしければ、お気づきの点をお聞かせください。次にお越しいただいたときにお応えできるよう、改善してまいります。
美容室
ご来店いただきありがとうございました。仕上がりやご案内でご満足いただけない点があったのだと思います。差し支えなければ、お電話かご来店の際にお聞かせください。担当者と共有し、見直してまいります。
整体院
ご来院いただきありがとうございました。施術やご説明で行き届かない点があったものと受け止めております。お体の状態で気になることが残っている場合は、一度ご連絡ください。
共通しているのは、来店を否定せず、内容を推測しないことです。
事実と違う星1への返信
この場合だけは、事実を1つだけ静かに書きます。
相手を否定する書き方にせず、店の運用を説明する形にしてください。
飲食店
ご来店ありがとうございました。お会計の件でご不安をおかけしました。当店では、メニューに記載した金額以外を頂戴することはございません。行き違いがあったようでしたら、お手数ですが店舗までご連絡いただけますと幸いです。
美容室
ご来店ありがとうございました。料金についてご指摘をいただきました。当店では、ご予約時にお伝えした料金以外を頂戴しておりません。ご説明が足りなかった点はお詫び申し上げます。
整体院
ご来院ありがとうございました。当院では、回数券のご購入をお願いすることはしておりません。ご案内の仕方でご負担を感じさせてしまったのであれば申し訳ありません。
事実は1つだけにして、それ以上は書かないのがこつです。
読む人は、どちらが正しいかではなく、応じ方の落ち着きを見ています。
返信で書いてはいけない4つ
- 来店日、予約名、施術内容など、その人を特定できる情報
- 「法的措置を検討します」といった、争う姿勢を示す一文
- 相手の書いたことへの反論を重ねること
- 事実がないのに、全面的に謝ってしまうこと
1つ目は、Googleのポリシーで個人情報にあたる可能性があります。
とくに1つ目は、店を守るつもりで書いた一文が問題になりやすい場所です。
「そのような予約はありません」と書くために、予約の記録に触れてしまうためです。
星1が続くときに、店側で見直すこと

星1が単発ではなく続いている場合、内容が似ていることがあります。
多いのは、待ち時間、説明不足、予約の行き違いの3つです。
この3つは、口コミを消しても解決しません。
先に案内の出し方を変えたほうが、次の星1が減ります。
星1だけでなく、全部に返信する
低い評価にだけ返信していると、身構えているお店に見えます。
星5にも一言返していれば、星1への返信が浮きません。
「良い口コミを増やして薄める」ときの注意
平均点を戻す方法として、口コミを増やす案がよく出てきます。
ただし、増やし方を間違えるとプロフィールごと止まる可能性があります。
Googleは、見返りを条件に口コミを集めることを明確に禁じています。
クチコミの投稿、クチコミの変更、否定的なクチコミの削除と引き換えに、無料または割引価格で商品やサービスを提供するといったインセンティブを顧客に提供することは、虚偽のエンゲージメントと見なされ、固く禁じられています
Google ビジネス プロフィール ヘルプ「クチコミを増やすためのヒント」
割引や粗品と引き換えにお願いする方法は、この一文に当たります。
満足していそうな人にだけ声をかけるやり方も、公平ではありません。
お願いするなら、全員に、対価なしで、その場で、の3つを守ってください。
Googleは、お店側がやっていい依頼の仕方を、ポリシーの中で1文だけ定めています。
その原文と、QRコードの作り方、業種別の声かけの言葉はGoogleの口コミを増やす方法にまとめました。
割引と引き換えにお願いして措置命令を受けた2件の中身も、そちらに載せています。
よくある質問

- 誰が書いたのか、店側で分かりますか?
-
分かりません。
表示されるのは投稿者が設定した名前とアイコンだけです。
本名とは限らず、店側から個人を特定する方法もありません。
特定には、開示請求の章で説明した手続きが必要になります。
- 返信しないと、評価に影響しますか?
-
返信の有無が順位を決める、とGoogleは説明していません。
ただし、読む側の印象は変わります。
星1に返信がないと、書かれた内容をお店が認めたように読まれます。
- 口コミの機能を止めることはできますか?
-
お店側の設定で口コミを非表示にすることはできません。
プロフィールを消せば口コミも見えなくなりますが、地図からお店も消えます。
検索で見つけてもらう入口を失うので、現実的な選択肢ではありません。
- クリニックや歯科医院でも、同じように対応していいですか?
-
返信すること自体は、ほかの業種と同じで問題ありません。
ただし、口コミを増やす段階だけは医療機関に固有の制限があります。
厚生労働省の医療広告ガイドラインに、次の記載があります。
個人が運営するウェブサイト、SNS の個人のページ及び第三者が運営するいわゆる口コミサイト等への体験談の掲載については、医療機関が広告料等の費用負担等の便宜を図って掲載を依頼しているなどによる誘引性が認められない場合は、広告に該当しない
厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(令和8年3月30日最終改正)裏を返すと、医院が依頼したり便宜を図ったりすると、広告として扱われます。
そして、治療内容や効果についての体験談を広告に使うことは禁じられています。
患者さんへの口コミの依頼は、一般の店舗より慎重に考える必要があります。
まとめと、デジリスタでお手伝いできること

星1がついたら、まず3種類のどれかを仕分けます。
来店していない人、元従業員、同業者、個人名入りなら、報告する価値があります。
それ以外は消えないので、次のお客様に向けた返信を書きます。
開示請求を考えるのは、具体的な事実が書かれ、それが事実と違うと記録で示せるときです。
削除の日数を約束できる会社は存在しません。
法律上の期限もありません。
デジリスタは、低評価の口コミを削除することを保証しません。
口コミを自作することも、依頼を代行することもしません。
開示請求は裁判所の手続きで、代わりに行えるのは弁護士です。
デジリスタでは、開示請求の手続きは扱いません。
できるのは、報告できる類型かどうかの切り分けと、返信の文案づくりです。
星1がついてしまって手が止まっている段階でも、相談だけで構いません。
料金と作業内容はMEO対策のページに掲載しています。
業者との契約でお困りの場合は、MEO対策を解約する前に確認する5つのこともあわせてご覧ください。
この記事は2026年9月時点の情報をもとに書いています。
Googleのポリシーと管理画面は変わることがあります。
個別の口コミが削除できるか、開示請求ができるかについては、弁護士など専門家にご相談ください。

